2016年入職 理工学教育部卒業 生活支援部 Yさん


数学の先生一択だった学生時代

大学では数学を専攻していて、大学院生の時は主に確率論について学んでいました。数学は昔から好きでした。中学校の時にコインの表が出るか裏が出るか当てるゲームをやっていたのですが自分の思うような確率で勝てず、どうして上手くいかないんだろうと思ったのが数学に興味を持ったきっかけでした。

大学生の時、確率の法則を学んでいく中で、少し仕組みをずらすだけで極端に有利不利が分かれることを学べたことはすごく面白かったです。例えば、カジノのルーレットというものがある訳ですが、お客さんの賭けの対象となる赤と黒以外にも、白という項目を1つ設けるだけでお客さん一人ひとりの勝率はほとんど変わらないのに、親元のトータルでの勝率が100%になる、という話がすごく面白かったです。数学的な用語でいうとマルチンゲールを学んでいました。

大学生の時は、その先の進路を教員一択で考えていました。数学の先生になろうと本気で思っていて。小学校1年生の頃、放課後よく担任の先生と1対1で勉強していたのですが、この先生と2人で過ごす放課後の時間がすごく好きでした。そういう思い出もあったおかげで小さい頃から何となく先生というものに対して温かい印象を持っていて、その思いが少しずつ大きくなり、次第に数学も得意になってきたので、数学の先生になろう、と。

転機は教育実習でした。大学4年生の時に、教員免許取得のために特別支援学校に実習に行ったのですが、数学科は教員養成系の学科とは違い、実習期間が2日間しかなかったんです。これまで発達障害の方とは小学校の時も中学校の時もあまり接点はなく、その実習で初めて発達障害を持つお子さんと1対1で関わった感があって。それが2日間で終わってしまったので、物足りないな、よく分からないなと思い、じゃあアルバイトをしてみるかと思いたち電話を掛けたのが、当時立ち上がったばかりのくるみでした。岡本さん(理事長)と少しお話しをして、くるみでアルバイトすることを決めました。

アルバイトの時はずっと子どもと関わってました。午後3時位にお子さんたちがくるみに来るので、アルバイトもその時間に合わせて始めて、ひたすら子どもと遊んでいました。当時は正社員ではなくアルバイトの立場にも関わらず研修に参加させてもらったり、講師の方を紹介してもらったりして、色々な学びの場を設けてもらっていました。くるみは福祉に対して学びが多いなと感じ、大学院卒業後ここに就職しました。


論理的思考が役立つ

今は法人スーパーバイザーという肩書で、法人の経営面に比重を置いた業務をやっています。大学時代に培ってきた論理的思考も、経営面において、数か月後、数年後、どのように運営が安定するかを示す際に役に立っています。対外的には助成金申請に必要な、事業の継続性や経営の安定性、収支の根拠資料等を作成しており、法人内では、スタッフが安心して働けるように勤務形態表などを作っています。岡本さんはすごく直感が働く方なので、数字を使ってその直感を補足する資料を作成しています。

僕が今担当している法人スーパーバイザーの仕事は、考えることに耐性がある人だと向いているかなと思います。あとはやはり論理的思考や、職員の勤務体系もなんとなくパズルチックなところもあり、パズルが得意な人がいれば向いていると思います。スタッフの配置にしても、岡本さんやスタッフそれぞれの思いを加味しつつ、納得度の強い落としどころを見つけて資料を作成しています。


ベクトルが人に向いたきっかけは岡本さん

元々、何事に対しても、もう一歩学んでみようみたいな気持ちが強い方だと思います。以前ある方に、「あなたはくるみの岡本さんに会ってベクトルが人に向いたね」と言われたことがありました。くるみでアルバイトをする前は数学にベクトルが向いていたのですが、自分でも岡本さんと会ったことをきっかけに、人にベクトルが向いたように感じています。

入職当初から岡本さんが次々と新たな試みをやっていくのを知っていたので、きっとくるみはどんどん変わっていくだろうし、岡本さんは次に何をするんだろう、ということに対して知りたい気持ちはありますね。

仕事の中でのやりがいはやはり、利用者さんの笑顔が一番です。ここにきている子どもたちって、同じ年齢の子たちに比べると経験が少ない子も多いのですが、例えば初めて海に行く子がいた時に、初めて砂浜を触った時の、面白いな、なんだこれ、という表情が、なんかこう、ぐっときて、たまらない気持ちになります。そういう利用者さんといる時間が一番やりがいを感じます。もちろん、数字を触っているときも好きです(笑)


課題は、世代交代しても支援を続けられるか

これまで一番大変だったことは、2年程自宅に引きこもっていた方が新たにくるみを利用することになり、その方の担当をした時です。それまで発達障害についてはたくさん勉強させてもらっていたのですが、その方には精神疾患など、自分が学んできた以外の背景もあったので、どうしていいか分からなくなったことがありました。その時はとにかく周りの人にたくさん相談しました。発達障害について教えてくださっていた外部講師の方がいて、その方とも毎日電話で相談していました。色んな方に助言を頂きながら、最終的には上手く支援することができたので、当時は大変だったのですが、その時の経験はすごく自信になりましたね。

今後は世代交代に対して課題を感じています。今、福祉業界で頑張っている方がたくさんいるのですが、その方たちがいずれ一線を退いたときに、もっと独り立ちしてないとなという思いがあります。今まで頼ってきた人たちに頼れなくなった時でも、これまで自分が支援してきた方たちが、いきいきと生きていけるように、ちゃんと僕自身の力をつけていく必要性をすごく感じていて障害に関わらず様々な分野を学んでいかなきゃなというのは思っています。大層なことを言っちゃいましたけど、でも本当に思っています。

スタッフの皆さんに聞きました!

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